医療安全管理対策指針
私は東名厚木病院時代から16年にわたり、医療安全管理を担当してきました。日本における医療安全対策は、1999年の横浜市大病院での心臓手術と肺手術の患者さん取違い事件以降、強化されてきました。人間である以上、エラーはゼロにはなりませんが、生じても患者さんの生命に危機が及ばない事前の段階で気づき、組織として対策を施せるよう取り組んできております。患者さんに安全で、安心した医療を受けて頂くためには、患者さん自身にも医療安全について一緒に考え、ご協力を頂き、一緒に医療事故を防ぎたいと考えております。以下の当クリニックの対策指針の末項にまとめてありますので、ぜひご一読頂ければと存じます。今後とも当クリニックでは、医療安全対策に万全を期して参りますのでよろしくお願いいたします。
院長 河野 昌史
1.医療安全管理対策に関する基本的な考え方
- (1) 医療提供にあたり、事故の発生を未然に防ぐことが原則であり、事故が発生した場合は、救命処置を最優先するとともに、再発防止に向けた対策をとる必要がある。本指針は、医療事故を未然に防ぎ、質の高い医療を提供することを目的に策定する。
なお、本指針における事故とは、当院の医療提供に関わる場所で医療の全過程において発生するすべての事故を指し、職員の過誤、過失の有無を問わない。 - (2) 事故防止のための基本的な考え方
- ① 患者と信頼関係を強化し、患者と職員との対等な関係を基盤とする「患者中心の医療」「患者の安全を最優先に考える医療」の実現を図る。
- ② ヒューマンエラーが起こりうることを前提として、エラーを誘発しない環境、起こったエラーが事故に発展しないシステムを組織全体で整備する。
- ③ 職員の自主的な業務改善や能力向上活動を強化する。
- ④ 継続的に医療の質の向上を図る活動を幅広く展開していく。
2.医療安全管理対策委員会の設置及び運営・管理
当クリニック内と、東名厚木病院の医療安全管理委員会と協同しながら、事故やインシデント・アクシデントの資料収集、職員への周知、研修の企画などを行う
3.職員研修
職員研修は安全管理のための基本的な考え方及び具体的方策について全職員に周知徹底を図ることを目的に、年間に適宜実施し、研修の開催結果及び参加実績を記録・保管する。
4.医療事故発生時の対応及び事故報告及び再発防止対策
医療事故が発生した際には、医師、看護師等の連携の下に救急処置を行う。
医療事故の報告
医療事故が発生した場合は、関係者は直ちに医療安全管理室に届ける。また、医療安全管理者は、医療事故が発生したことを承知した場合、直ちに関係者に医療事故の報告または資料の提出を求める。患者・家族への対応
- ① 患者に対しては誠心誠意治療に専念するとともに、患者及び家族に対しては、誠意をもって事故の説明等を行う。
- ② 患者及び家族に対する事故説明等は、原則として医療安全管理者が対応し、状況に応じ事故を起こした職員も同席する。
事実経過の記録
- ① 医師、看護師等は、患者の状況、処置の方法、患者及び家族への説明内容等を、診療録、看護記録等に詳細に記録する。
- ② 記録に当たっては、以下の事故に留意する。
- 初期対応が終了次第、速やかに記載する。
- 事故の種類・患者の状況に応じ、できる限り経時的に記載を行う。
- 想像や憶測に基づく記載を行わず、事実を客観的かつ正確に記載する。
- 医療事故再発防止のための取り組み
- ① 委員会は、インシデント・アクシデントレポート等に基づき、事故の原因分析を行い、再発防止のための手立てについて検討を行う。
- ② 事故防止対策については、委員会から早急に職員に徹底を図る。
5.医療職員と患者との情報共有に関する基本方針
病状や治療方針等に関する患者からの相談については、担当者を決め、誠実に対応し、担当者は必要に応じて担当医等に内容を報告する。
6.医療安全管理対策に関する指針の見直し及び周知
本指針は必要に応じて改正するとともに、研修などを通じて全職員に周知する。
患者さんの安全のために
「安全な医療を受けるためのポイント」
1.名前を伝えてください。確認してください。
クリニックを受付しますと、ブルーのファイルが渡されます。そのファイルには、受付番号、患者さんのID、名前、年齢、性別が記載してあります。このファイルは、ご本人確認のための大切な書類ですので、クリニック内にいるときは離さず持参し、必ず間違いがないかご確認ください。そして、診察室に呼ばれたとき、検査に呼ばれたとき、処置室に呼ばれたとき、会計などに呼ばれたときなどに、声を出してぜひご自身の名前を確認してください。患者さんにご協力頂くことで、さらに安全性が高まります。
2.お薬の間違いを防ぎましょう
薬を渡されたら、名前、服用方法、内容を確認しましょう。いつもと形状が異なる薬や、量が違う、種類が異なる、医師から言われてない薬が入っているなど、「あれっ?」と思ったら、ご遠慮なく申し出てください。
3.診察室では、自分の状態をしっかり伝えましょう
いつもと違って体調が悪いなどあれば、遠慮なく伝えてください。初診の患者さんは、ご自分のアレルギー歴(薬や食物、装着品など)がある方は、必ず申し出てください。また、他院での処方薬がある患者さんは、お薬手帳をご提示ください。
4.医療従事者からの説明は充分に聞きましょう
検査・手術・処置などが決まると、必ず説明があります。手術はもちろん、お体に多少なりとも侵襲のある検査・処置では、医師からの説明があり同意書にサインしていただきます。説明時などは、メモをとるなどして説明を受けましょう。わからないこと、質問したいことがあったら、遠慮せずにその場で聞きましょう。
確認しておきたいこと
- 病状の原因と治療内容
- 診断した内容(病名など)
- 検査内容や治療の目的と予想される結果
- 検査に伴う副作用
- 費用や日常生活での注意点
5.これでいいのかな?と思ったら、確認しましょう
当クリニックでは、細心の注意を払って安全な医療の対策を進めておりますが、医療の事故を防ぐためには、患者さんやご家族の協力が必要です。わからないときや、少しでも「変だな?」と感じたときは、必ず質問しましょう。また、危険なものを見つけたり、「ヒヤッとした」「ハッとした」経験をしましたら、危険を防ぐために医師や看護師、薬剤師などの医療者にご連絡ください。当クリニックの医療安全向上にご協力お願いいたします。
6.医療機関を受診するときはマナーを守りましょう
クリニックは多くの方が利用されます。皆さんが気持ちよく利用できるためにも一人ひとりがマナーを守ることが大切です。施設内の決まりごと(受診時間、携帯電話使用ルールなど)があります。他の患者さんや職員に対して迷惑になる行為は慎んで頂けますようお願いいたします。また、見かけた方は、職員にお知らせください。 皆様が安心して受診できますようご協力をお願い申し上げます。
(神奈川県看護協会の「あなたが安全な医療を受ける為の8つのポイント」を参照しております)