東名厚木病院

神奈川県がん診療連携指定病院

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コラム

高齢者に多い熱中症とその対策

熱中症というとスポーツや仕事など、活動中に起きる 「労作性熱中症」が一般的ですが、近年、屋内で生活していて、特に激しく体を動かしていないのに熱中症になってしまうというケースが増えています。(これを非労作性熱中症といいます。)

 

熱中症で救急搬送される50%が高齢者

総務省 令和5年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況の概要 より抜粋

2010年以降、ここ10年間は熱中症による救急搬送数が、特に大きく増加しています。例年、全国で6万人程度の方が熱中症で搬送されていますが、昨年は記録的な猛暑もあり、9万人と大幅に増加しました。これは、消防庁の調査開始以来2番目に多い搬送人員です。そのうち約50%は65歳以上の高齢者で、発生場所は住宅内が最も多く約40%を占めています。

 

なぜ高齢者に多いのか 

そもそも熱中症とはどのようなものなのでしょう?
簡単に言うと、体内の塩分や水分のバランスが崩れ、体温が上昇して起こる体調不良です。

非労作性熱中症に関しては、圧倒的に高齢者に多く、数日かけて徐々に悪化します。特に、持病(糖尿病、心疾患、脳卒中後遺症)がある方は注意が必要です。

原因としては、主に3つのことが挙げられます。

①暑さを感じにくい  
エアコンの利用などが遅れがち

②水分が不足しがち
水をためる機能などを持つ筋肉などの衰え

③汗をあまりかかない
発汗の始まりや発汗量の低下により熱がこもりやすい

室温や温度の上昇など、環境から起こるもの。屋外での活動後に室内で適切に体を冷やすことができずに熱中症になる場合や、夜間に冷房をしないことで就寝中に熱中症になる事もあります。

 

これから夏本番!気を付けたいこと 

1.まずは温度や湿度を気にしてみましょう
暑さを感じにくくなっているため、室内の温度や湿度を実際に測ってみましょう。熱中症計というものもありますので、指標として活用するのもいいでしょう。それをみながら、エアコンを使って室温を適度に保つようにしましょう。
また、日当たりにも注意です。これには、遮光遮熱効果のあるカーテンやシェードなどを活用するのもよいでしょう。また、冷却グッズも有用ですので、生活スタイルに合わせて使ってみてください。

2.水分補給には塩分も忘れずに
こまめな水分補給は、みなさん積極的にされていますが、適度な塩分補給は忘れがちです。また、体が暑さに慣れることも重要で、適度な運動も推奨されますが、その際にも水分補給・塩分補給を忘れないようにしましょう。

3.生活のリズムを整えましょう
体調不良や睡眠不足なども熱中症になる危険性を高めますので、夏は特に生活リズムを整えることを意識しましょう。

一番重要なのは「室内でも熱中症になる」という事を覚えてください。
「自分も家族も熱中症になるかもしれない」とお互いに気にかけましょう。

 

熱中症かな?とおもったら 

まずは意識があるかどうかを確認してください。

1.意識がない場合
救急車を呼んでください。

2.意識がある場合
涼しい環境を確保し、男性ならネクタイやベルトを緩めたりするなど、熱が逃げやすいようにしてください。それから冷たい水やお茶を飲ませましょう。

熱中症は症状が様々です。もし熱中症かな?と思われたら、これらの初期対応を行い、改善しない場合は医療機関の受診をおすすめします。受診の際は当院クリニックでは総合内科を、病院では救急科の受診をおすすめします。

 

救急総合診療科 日本救急医学会認定 救急医学専門医  安齋 明雅(あんざい あきまさ)

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