東名厚木病院

神奈川県がん診療連携指定病院

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コラム

冬に気をつけたいヒートショックで起こる病気とは

1.ヒートショックで起こる病気とは

ヒートショックとは、“急激な温度差による血圧の変動によって起こる健康被害”とされています。冬場に多くみられ、高齢者に多い特徴がありますが、若年者でも起こる可能性はあります。  温度差は「屋内→屋外」に限らず、住居内の「リビング→廊下」「寝室→トイレ」などでも生じます。なかでも入浴時は、暖かい室内から、寒い脱衣所や浴室で衣服を脱ぎ、熱い湯に入るので、温度が変化しやすい環境です。その結果、激しく血圧が変動し、立ちくらみや失神による転倒・溺れる事故、心筋梗塞や不整脈、脳梗塞といった生命にかかわる重大な病気へ発展することがあります。

 

2.予防するポイント

ヒートショックを予防するために、入浴習慣や住環境を見直すことが大切です。特に事故の多い入浴時について、注意すべきポイントを挙げます。

①脱衣所や浴室を暖めておく
暖房器具を使うだけでなく、「給湯をシャワーで行う」、「浴槽蓋を外して蒸気を立てる」などの工夫もできます。各所に室温計を設置し、日頃から自宅内の温度差を知ることもおすすめです。

②食直後や飲酒後、服薬直後の入浴は避ける
食後や飲酒後は血圧が下がりやすくなります。血圧に影響する薬の服用や、睡眠薬を服用した後の入浴は避けた方がよいでしょう。

③脱水を予防する
入浴に伴い発汗すると脱水になりやすいです。入浴前後に水分補給をしましょう。

④熱すぎず、長すぎず
湯の温度は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安に。最近はやりのサウナも同様です。

⑤入浴する際は同居者に一声かける
入浴中に体調不良となった場合、早期発見が重要です。同居者に声をかけてから入浴し、時折気にかけてもらえるようにすると安心です。

ヒートショックに限らず、体調に異変を感じたら、その場でしゃがんだり、横になったりして休みましょう。無理せず、助けを呼ぶことも必要です。少しの工夫で予防できることもありますので、ぜひ参考にして、ヒートショックとそこから起こる病気を予防しましょう。

 

救急総合診療科 日本救急医学会認定 救急医学専門医  渡邉 奈月(わたなべ なつき)

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