東名厚木病院

神奈川県がん診療連携指定病院

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コラム

骨粗鬆症の治療

昨年10月より脊椎センターが開設され、o-armを導入したことで脊椎専門の手術や治療が可能になりました。そこで、骨粗鬆症の治療について和田先生に伺いました。

 

1.脊椎骨折があると重症と診断

日本における重症骨粗鬆症は診断基準があり、以下のうち一つでもあてはまると診断されます(専門用語を使わない平易な言葉で書き直しています)。

1.骨密度値がYAM値70%以下で 1個以上の脆弱性骨折を有する
2.腰椎骨密度がYAM値60%未満
3. これまでに脊椎の骨折の数が2個以上
4.脊椎骨折が40%以上潰れている

ここでYAM(ヤム)値とは、若年者の骨密度の平均値で、どの骨密度計測装置でも計測できます。つまり3と4の基準は骨密度と関係なく決められた値で、3または4があれば骨密度を計測するまでもなく重症骨粗鬆症と診断されます。重症骨粗鬆症と診断された場合は近年の国際学会でも、骨形成促進薬(骨を作ることを促進する薬)を使用することが推奨されています。現在使用できる骨形成促進薬には、イベニティ、オスタバロ、テリボンがあります。骨形成促進薬は強力な薬で、骨密度を短期間で上昇させます。つまり骨密度を急速に上昇させて次の骨折のリスクをなるべく早く減少させるという治療です。注意点もあります。テリボン、オスタバロは、骨転移が起こりやすい癌の既往がある方に対しては、一般的には使用できません。イベニティは上記の中で最も強力な骨形成促進薬ですが、1年以内に心筋梗塞や脳梗塞の既往のある方には使用できません。テリボンは2年、オスタバロは1年半、イベニティは1年と、投与期間が決められています。もう一つ、重症骨粗鬆症治療に用いられる強力な骨吸収抑制薬(骨が壊れることを抑える薬)としてプラリアがあります。本薬剤も強力に骨密度を上げますが、上記骨形成促進薬の使用後に投与した方が効果が高いことから、骨形成促進薬の次に使う薬と位置付けています。

 

2.やはり早期発見、早期治療が大事

以上、重症骨粗鬆症について解説しましたが、高齢になっても快適に暮らすには、骨粗鬆症の早期発見、早期治療がとても大切です。重症骨粗鬆症、特に過去に骨折のある方は、当院整形外科の脊椎専門外来か、骨粗鬆症外来を受診してみて下さい。

 

脊椎センター センター長 和田 圭司

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