医療の提供指針
当院医療の提供指針
この指針は、当院における医療が患者さんの利益に従い実施されると同時に、患者さんの自律性と治療を受ける権利を保証する目的で作成し、当院に就労する者に常に以下の具体的事項の実行努力を要請する。
医療の倫理性
当院で働く者は、患者さんの尊厳とその価値観を尊重し、職業人として、社会的・職業的な倫理性をもって医療を実践する。
患者さんの秘密保持
業務上・医療上知り得た事柄を患者さん及びその保護者の許可なく他人に洩すことを行うことはいたしません。
医療の質
- 提供された医療は、根拠に基づいて正しく評価されたものであり、現時点での最善、最良の選択であること。
- 提供された医療は、その始まりから完結までの過程において、医療の提供を受けた者はもとより第三者の評価に耐えるものである。
医療の安全性
提供された医療は、清潔かつ安全に行われることが基本であり、医療の過程のなかで、つねに最優先される行為であることを深く認識する。
チームワーク
- 医療の提供に際して、医療は特定の職種に携わる者のみで行われるものでなく、全ての職種がその専門性をもって参加し、チームとして成功させるものである。
- 医療は、単に病院において提供されるだけでなく、院外のかかりつけ医や医療、福祉に係わる人びととの連携のもとで、相互の立場を尊重した密接なチームワークのもとで完成されるものである。
地域社会における役割
- 医療を提供する者は、つねに地域社会に生きる人びとに適切な医療を提供することにより、個人の健康の保持のみならず、健全な社会の育成と維持に貢献する使命を有することを認識する。
- 医療を提供する者は、全ての医療を効果的かつ効率的に実施し、個人および社会の経済的負担を軽減するように努めなければならない。
(参考:患者の権利に関するリスボン宣言―世界医師会1995年バリ修正)
world medical association declaration of Lisbon on the rights of patient
病院長
説明と同意に関する当院の指針
1)基本的な原則
医療においては、同意の原則「成人に達し正常な判断能力を有する者は誰でも、自己の身体に何がなされるべきかを決定する権利を有する(Cardozo,B.N.)」に基づき、医療行為の内容とそれによってもたらされる結果の予測や危険性について説明し、患者さんの納得を得る必要があります。当院においては、病気、検査、治療、見通しなどについてわかりやすい言葉で説明を行い、充分な説明と情報を提供したうえで、患者さんが十分納得されたうえで検査や治療方法などを自分の意志で選んで頂き、同意を得ることとします。
私たちは安全で最善の医療を提供し医療を受ける方の「知る権利」と「自己決定権」を支えるために、誠意ある説明、助言、協力、指導を行います。
2)同意を必要とする範囲
すべての医療行為が説明と同意に基づき施行されることが基本ですが、特に、検査・処置・手術などの侵襲的な行為や重い副作用の可能性がある注射・処方・与薬など予後に大きな影響を与える医療行為については、個別性を考慮した必要性と危険性について十分に説明する必要があります。
具体的に同意が必要な処置検査手術名、方法手順などは、当院の「説明と同意に関するガイドライン」に記載してあります。
3)説明と同意の概要
説明と同意は、患者さんに医療(検査・治療等)上の選択の機会を与える為のものであり、あらかじめ医療行為の必要性(患者さんの病名、病状)、内容・期間、危険性・副作用、予測される結果、代替可能な医療行為の有無と内容、これらを実施しなかった場合に予測される結果等について説明し、患者さんの決定権を保証するものです。
説明と同意は、口頭での説明と同時にその内容を文書で明示し、医療側および患者さん側の双方で確認・保管できるようにします。
4)説明の方法
- ①説明内容
担当医は、これから行う診療行為についてわかりやすい言葉で説明し、理解の一助になるように適宜説明文書や資料・図などを活用します。現在までの病状経過、診断の結果、治療の方針、治療に必要な検査、あらゆる治療をしない場合の予後予測、最善を考え推奨する治療計画の提示、合併症・併発症と危険性、選択肢としての他に考えられる治療方法などについて説明します。 - ②理解度の確認
担当看護師が原則として説明場面に立会い、患者さん・家族の理解度について確認し対処します。 - ③同意書の作成
患者さんにとって侵襲となるような診察(検査・診断・治療)を実施する時は各種「説明書」、「承諾書」、「同意書」に患者さんの署名を得て病院長宛へ提出していただく必要があります。その診療行為が医療上適応であっても、原則として同意書がなければ当該行為を実施することはできません。患者さんが理解・納得する能力を欠く時は近親者または理解補助者に説明をし、その同意を得るようにいたします。
「説明書」「同意書」は、二部作成し、一部をカルテに、もう一部を患者さんに交付します。なお、病院控えは電子カルテ内にスキャンされた電子証明(タイムスタンプ)印のあるものを原本とします。 - ④説明の場所
病棟内のカンファレンス室や診察室を使用し、患者さんのプライバシーの配慮に注意します。
5)セカンドオピニオン
自己決定の前にいつでも同一施設あるいは他施設の別の専門家に意見を聞くこと(セカンドオピニオン)が出来ることは当院で治療を受ける患者さんの権利であり、その旨も説明し、希望があれば情報提供書を作成します。
6)追記事項
本人と家族の意思が異なる場合、未成年者・精神障害者・認知症者への対応、緊急時や医学的に妥当でない治療方法を希望した場合:
院内の臨床倫理の規定に沿って、患者さんの利益になることを最重点に考え、最適な医療を選択し施行いたします。この場合は診療録などにその旨を記載し、事後に説明します。