東名厚木病院

神奈川県がん診療連携指定病院

認定

がん治療

放射線治療

放射線でがん治療することとは?

放射線治療は放射線を照射することにより、がん細胞内のDNAにダメージを与え、がん細胞を死滅させる治療です。放射線はがん細胞のような細胞分裂の活発な細胞ほど殺傷しやすい性質があるため、正常な細胞にはあまり影響を与えずにがん細胞を殺傷することができます。
また正常な細胞は放射線によるダメージからの回復ががん細胞よりも大きいため、放射線の量を小分けにして照射することで正常細胞を回復させつつ、がん細胞をたたいていきます。

放射線の照射精度が治療のポイント

がんを効果的に治療するためには、正常な細胞に放射線をあてずに、がんだけに集中的に強い放射線を照射することが理想です。
しかし今までの放射線治療装置では、がんだけに放射線を正確に照射する技術が低かったため、正常な組織にも放射線があたり副作用が生じたり、十分な放射線をがんに集中できず治療効果がなかなか上がりませんでした。

高精度放射線治療装置の導入

コンピュータ技術の発展とともに放射線治療装置は年々進歩してきました。
当院は、2017年6月に放射線治療を開始するにあたり、最新型の高精度放射線治療装置であるエレクタシナジーを導入しました。エレクタシナジー導入により、IMRTをはじめとした理想的な放射線治療が可能になりました。

高精度放射線治療装置

最新鋭の照射技術

IMRT(強度変調放射線治療)

最新のコンピュータ技術を用いて、治療ビーム内の放射線の強度や形状を、がんのかたちや位置に合わせて変化(変調)させて照射することで、がん細胞には高い放射線量を集中させながら、周囲の正常な細胞への放射線量を減らすことができます。これにより副作用の低減と治療効果の向上が期待できます。この照射技術をIMRT(強度変調放射線治療)といいます。

前立腺がんに対するIMRTの放射線量分布図

  • 画像の赤い部分(前立腺がんがある部分)には高い放射線量を照射し、青い枠の部分に近づくにつれ放射線量を減らして照射しています。
  • 正常組織(直腸)を避け、前立腺がんに強い治療ビームを集中させることが可能なため、副作用を抑え、治療効果の向上が期待できます。
前立腺がんに対するIMRTの放射線量分布図

前立腺がんに対する放射線治療をより安全におこなうために

当院の最新の治療機器で可能なかぎり前立腺がんに照射を集中させることは可能です。
しかし、照射野に直腸の一部がふくまれることがあり、頻度は多くないものの照射後の直腸出血や壊死などの有害事象が発生します。原因は前立腺と直腸が接していることです。

前立腺と接する直腸

これを解決するため、2023年4月より前立腺と直腸の間にゲル状の物質を注入し、直腸前立腺間に2cm程度のすき間をあける方法(ハイドロゲルスペーサー留置術法)を導入しました。この方法は低侵襲で、手術室で特殊な装置を用い、会陰部より前立腺直腸間にポリエチレングリコールを注入し、すき間を作ります。このすき間により直腸への放射線の影響が極めて少なくなり、結果、前立腺がんへの高線量の照射が可能となりました。

このゲルは約3か月ごろより加水分解され、6-12か月で完全に吸収され、人体に全く影響を与えません。従来法より、照射前に多少の手間と時間がかかりますが、直腸への有害事象の予防のために良い方法だと考えています。
前もって、十分に説明しご本人の希望をふまえて、従来法かハイドロゲルスペーサー留置術法を選択させていただきたいと考えています。


進歩したIMRT

VMAT(回転原体強度変調放射線治療)

当院では治療ビームの形状・強度とガントリーの回転を連続的に変化させながら照射する、IMRTの中のVMAT法を採用しております。従来のIMRTと比較すると放射線の照射時間が短く、患者さんの身体への負担も軽減されます。

進歩したIMRT


IGRT(画像誘導放射線治療)

放射線治療では、治療開始前にCT画像でがんのかたちと位置を把握し照射の計画をつくります。がんを効果的に治療するためには、その計画どおりに誤差なく、治療ビームを照射することが必要です。エレクタシナジーにはCT装置が装備されています。当院では、毎回の治療開始直前にこのCT装置を用いて、患者さんのがんの位置を再度確認し、治療計画時に撮影したCT画像と放射線照射開始直前のCT画像を照合し、照射計画とのわずかな誤差を補正します。毎回の治療開始直前に照射誤差の補正を行っておりますので、高精度の治療が可能です。
この、CT画像を用いて誤差補正を行う技術をIGRT(画像誘導放射線治療)といいます。

IGRT(画像誘導放射線治療)

当院の放射線治療までの流れ

  • ①放射線治療医による診察を行い治療適応の判断を行います。
  • ②計画用CTを撮影します。おおよそ15分~20分程度。
  • ③患者さんの病状に沿った治療計画を立てます。
  • ④治療を開始します。
  • ⑤週1回(火曜日もしくは金曜日)放射線治療医の診察に通院していただきます。
  • ⑥治療後のフォローを行っていきます。

放射線治療による副作用

副作用として照射部位の皮膚炎などの可能性がありますが、当院では予防対策を十分に行っています。
開始より重篤な皮膚障害を発症した患者さんはおりません。


当院の放射線治療室の特徴

  • 放射線治療専門の看護師を配置しております。ご不明な点やご不安な点はご気軽にご相談ください。
  • 放射線治療室は、リラックスして治療を受けていただけるよう写真や絵画を飾り、治療中は、音楽を鑑賞しながら治療を受けていただいております。
  • 患者さんの状態に応じては、治療中、入院してお受けいただく事もできます。治療前や治療中に入院をご希望される方は、スタッフにお気軽にご相談ください。
  • ご希望される方に、放射線治療室内の見学を行っております。
    ご希望される方は、がん相談センター専用ダイヤルへご連絡ください。
放射線治療IMAGE
一般の方
がん相談支援センター
TEL:046-229-2552
平日9:00~16:00
医療従事者の方
地域連携部
TEL:046-229-1771(代表)
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